下請法では、建設工事の請負について適用除外になっています(建設業法第2条第4項)。
一方、建設業法では、建設工事の下請契約について、次のように下請人の保護を図っています。これらの違反については、公正取引委員会に適当な措置を求めることができるとされています(建設業法第42条第1項)。
下請人の保護の具体例
① 建設業法第19条の3(不当に低い下請代金の禁止等)
・元請負人は、その取引上の地位を不当に利用して、下請負人に対して、通常必要と認められる原価に満たない額で請け負わせてはなりません。
・正当な理由がなく、契約締結後に代金を減額することも禁止されています。
② 建設業法第19条の4(不当な使用資材等の購入強制の禁止)
・元請負人は、その取引上の地位を不当に利用して、契約締結後に、下請負人に対して、使用する資材、機械器具等やその購入先を指定して、下請負人の利益を害してはなりません。
③ 建設業法第24条の3第1項(下請代金の支払)
・元請負人は、注文者から出来形部分に対する支払や完成後の支払を受けたときは、支払い対象となった工事を施工した下請負人に対して、相応する下請代金を1月以内に、かつ、できるだけ早く支払わなければなりません。
④ 建設業法第24条の4(完成検査及び引渡し)
・元請負人は、下請負人から完成通知を受けた日から20日以内に、かつ、できるだけ早く工事完成検査を完了しなければなりません。
・完成確認後は、原則として、下請負人が申し出れば直ちに目的物の引渡しを受けなければなりません。
⑤ 建設業法第24条の5(不利益取扱いの禁止)
・元請負人が赤伝処理などの建設業法の規定に違反しているとして、下請負人が国土交通大臣、都道府県知事等にその事実を通報した場合、元請負人は、これを理由として下請負人に対して取引の停止などの不利益な取り扱いをしてはいけません。
⑥ 建設業法第24条の6第3項(特定建設業者の下請代金の支払方法)
・特定建設業者が元請負人であり、下請負人が特定建設業者や資本金4,000万円以上の会社でないときには、下請代金の支払を一般の金融機関で割引を受けることが困難な手形を行ってはなりません。
⑦ 建設業法第24条の6第4項(特定建設業者の下請代金の支払期日等)
・特定建設業者が元請負人であり、下請負人が特定建設業者や資本金4,000万円以上の会社でないときには、注文者から支払を受けたか否かにかかわらず、工事確認完成後、下請負人から目的物の引渡しの申出があれば、原則として、申出日から50日以内に下請代金を支払わなければなりません。
・支払が遅れた部分については、年利14.6%の遅延利息の支払が必要になります。
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