特定建設業の許可関係

 甲型の共同企業体(JV)が発注者から直接請負った1件の工事について、その工事の全部又は一部を、総額で4,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)以上となる下請契約を締結して施工しようとする場合は、代表者を含む1社が特定建設業の許可を有していることが必要とされます。

 ただし、倒産等による代表者の変更のおそれがあることを踏まえて、各構成員が特定建設業の許可を有していないことが望まれます。

 乙型の共同企業体(JV)の構成員が、担当する工区に関する工事で総額で4,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)以上となる下請契約を締結して施工しようとする場合には、その構成員は特定建設業の許可を有していることが必要です。

構成員との下請

 共同企業体は、それ自体は法人格を有していません。したがって、共同企業体とその構成員である企業とが契約することは、民法108条の自己契約に該当し、建設業法の下請契約としては認めがたいものと考えられています。

 また、このような契約は、出資比率に比べて一構成員が施工の多くを手がけることとなるため、実体上は共同企業体制度の趣旨に反するとともに、一括下請負に該当するなどの建設業法違反となるおそれが強く、他の構成員の実質的な関与を担保する手段がないため、適当でないとされます。

下請として共同企業体の適否

 共同企業体が請負った建設工事を他の共同企業体に下請させることについては、直ちに建設業法違反ということではありませんが、共同企業体制度が元請の制度として考えられていることから、下請としての共同企業体については想定していません。また、一括して発注すれば一括下請負の禁止に該当するおそれが強いものになります。

① 契約書では、各構成員が連帯で責任を負う旨明記し、契約の締結は、共企業体の名称を冠して代表者及びその他の構成員全体の連名により、又は少なくとも共同企業体の名称を冠した代表者の名義によること

② 契約の履行についての各構成員間の責任分担及び下請企業等との権利義務関係については、運営委員会においてあらかじめ各構成員協議の上決定するとともに、下請企業等あらかじめ十分協議を行うこと