
~1000円単位・売上区分・提出書類の注意点~
1. 決算書はなぜ1000円単位なのか
建設業許可における決算書は、経営事項審査(経審)や事業年度終了届の提出に用いられます。建設業法で定められた様式では、金額は1000円未満を切り捨てて記載することが義務付けられています。
これは、事業者間の財務状況を簡潔かつ統一的に比較・評価するためです。全国の事業者を対象とする制度のため、記載単位を統一することで審査の効率化を図ることができます。
例えば、現金残高が「5,432,876円」であれば「5,432千円」と記載します。税務申告用は1円単位で厳密に記載しますが、建設業許可手続きでは「概算での統一」が重視されているのです。
2. 建設業売上と兼業売上を分ける理由
決算書では、売上高を 「建設業売上」と「兼業売上」 に区分することが求められています。
- 建設業売上:建設工事による売上(請負工事収入など)
- 兼業売上:建設工事以外の売上(不動産賃貸、物品販売など)
この区分が必要なのは、経営事項審査の評点や許可審査の基準が「建設業売上」を基準に評価されるためです。兼業部分を含めてしまうと、建設業者としての実績を正確に把握できません。
例えば建設業売上が1億円、兼業売上が5000万円の場合、評価は「1億円」を基準に行われます。したがって、正しく分けて記載することが不可欠です。
3. 税理士の決算書をそのまま提出できない理由
税理士が作成した決算書をそのまま提出することはできません。その理由は次のとおりです。
- 様式の違い
税務用決算書は法人税法や所得税法に基づく様式ですが、建設業許可では建設業法に基づく「財務諸表」が必要です。科目や区分が異なります。 - 売上区分の不一致
税務決算書では売上を一括で表示しますが、建設業許可では「建設業売上」と「兼業売上」に分けて記載する必要があります。 - 追加資料の必要性
工事原価や完成工事未収入金など、税務書類には含まれない項目を記載する必要があります。これらがないと不備扱いとなる可能性があります。
そのため、税理士の決算書を基にしつつ、建設業専用の様式に書き直して提出することが必要です。
まとめ
建設業許可に必要な決算書は、税務署に提出する決算書と同一ではありません。
- 1000円単位で記載するのは、統一的な比較のため
- 建設業売上と兼業売上を分けるのは、正しい評価のため
- 税理士作成の決算書をそのまま提出できないのは、様式と区分が異なるため
これらのルールを理解することで、許可維持や経営事項審査において不備なく手続きを進めることができます。
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