日本は世界有数の地震多発国です。大小の地震が繰り返し発生する環境において、安全な建物づくりは常に社会的課題となっています。その中で注目されるのが「免震構造」「制震構造」です。いずれも耐震建設技術の進歩を象徴するものであり、建物利用者の安全と安心を支える重要な仕組みです。


1 免震構造の特徴

免震構造とは、建物そのものに地震の揺れを伝えにくくする技術です。建物の基礎部分に特殊な装置(免震装置)を設置し、地盤からの揺れを吸収・分散することで上部構造への影響を抑えます。
例えば積層ゴムやすべり支承などの装置が代表的で、建物は地盤と切り離された状態で揺れるため、地震エネルギーを直接受けにくくなります。これにより、家具の転倒や設備被害の軽減、さらには人命の安全確保に大きな効果を発揮します。


2 制震構造の特徴

一方、制震構造は建物自体が揺れを受け止めつつ、そのエネルギーを効率的に吸収する技術です。建物の柱や梁にダンパーと呼ばれる装置を組み込み、振動エネルギーを熱に変換して逃がす仕組みを採用します。
油圧式ダンパーや粘弾性体を用いたものが代表例で、大きな揺れだけでなく繰り返しの中小地震に対しても有効です。免震構造と比べると初期コストを抑えやすく、高層ビルや既存建物の改修に導入されるケースも増えています。


3 両者の違いと使い分け

免震構造は「地震の揺れそのものを建物に伝えない」ことを目的とするのに対し、制震構造は「揺れを受け止めて吸収・低減する」ことを目的しています。
そのため、免震は特に病院や官公庁など災害時の機能維持が求められる建物に適しており、制震はマンションやオフィスビルなど幅広い用途で採用されています。コストや設計条件によって、最適な技術を選択することが重要です。


4 今後の展望

近年は免震と制震を組み合わせた「ハイブリッド型」も登場し、さらなる安全性向上が図られています。また、AIやIoTを活用した揺れのリアルタイム監視、データ分析に基づく構造改善など、新しい耐震技術も実用化が進んでいます。
地震国日本において、これらの技術は単なる建築手法ではなく、社会全体の安心基盤を築くための不可欠な要素と言えるでしょう。

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