
はじめに
建設工事では、元請業者が下請業者と請負契約を締結する場面が数多くあります。
その中でも、特定建設業者が注文者となる下請契約については、建設業法により、一般的な下請契約よりも厳格なルールが設けられています。
本記事では、特定建設業者が注文者となる場合に特に注意すべき点を、実務の視点で整理します。
特定建設業者とは
特定建設業者とは、特定建設業の許可を受けている建設業者をいいます。
元請として工事を請け負い、その工事について下請契約を締結する際、下請代金の額が一定規模以上となる場合には、一般建設業ではなく特定建設業の許可が必要となります。
この「一定規模以上」とは、下請代金の額を基準に判断される点が重要です。
契約を分割して締結しても、実質的に一体の工事であれば合算して判断されるため、形式的な分割による回避は認められません。
下請契約における基本原則
特定建設業者が注文者となる下請契約では、注文者と下請業者は対等な立場で契約を締結することが大原則です。
元請という立場を背景に、下請業者に不利益な条件を押し付けることは、建設業法上も問題となります。
請負代金、工期、工事内容、支払条件といった契約の根幹部分については、あらかじめ明確に整理しておくことが求められます。
書面による契約と相互交付の義務
下請契約については、契約内容を記載した書面(または電磁的方法)を、注文者・下請業者が相互に交付することが原則として義務付けられています。
これは特定建設業者が注文者となる場合に限らず、下請契約全般に共通する重要なルールです。
また、工事内容や金額に変更が生じた場合も、変更内容を書面化し、相互に交付することが必要とされています。
口頭での合意だけで進める運用は、後のトラブルや行政上の問題につながるおそれがあります。
不当に低い請負代金の禁止
特定建設業者が注文者となる場合、取引上の地位を不当に利用して、通常必要と認められる原価に満たない請負代金で下請契約を締結することは禁止されています。
単に金額が低いというだけでなく、注文者という立場を利用して下請業者に不利な条件を強いるかどうかという点が判断の基準となります。
著しく短い工期の禁止
工期についても、注文者が、通常必要と認められる期間に比して著しく短い工期の請負契約を締結することは禁止されています。
この規制は、特定建設業者が注文者となる場面において、特に重要な意味を持ちます。
無理な工期設定は、品質低下や労働環境の悪化につながるため、注文者側に慎重な判断が求められます。
下請代金の支払と期限管理
下請代金の支払については、建設業法24条の3に基づき、定められた期限内に支払う義務があります。
特定建設業者が注文者となる下請契約では、支払期日の遵守がより厳格に求められる立場にあります。
支払遅延や不明確な精算は、下請業者の経営に重大な影響を与えるため、適切な管理体制を整えることが不可欠です。
実務上の注意点
実務では、契約書自体は整備されていても、
・現場指示と契約内容の不一致
・追加工事の扱いが曖昧なまま進行
といった問題が生じることがあります。
特定建設業者が注文者となる場合には、現場運営と契約管理を切り分けて整理する視点が重要です。
まとめ
特定建設業者が注文者となる下請契約では、許可区分に応じた責任と、下請業者保護の視点が強く求められます。
書面の相互交付、適正な請負代金、工期設定、支払期限の遵守といった基本を徹底することが、結果として工事全体の円滑な遂行と信頼関係の維持につながります。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。
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