建設業許可業者が営業停止処分を受けた場合、すべての業務が止まるわけではありません。重要なのは、何が禁止され、何が継続できるのかを正確に理解することです。ここを誤ると、処分がさらに重くなる可能性があります。


1.営業停止処分の基本

 営業停止処分とは、一定期間において建設業としての営業活動の一部または全部が制限される行政処分です。原因としては、無許可営業、名義貸し、虚偽申請、重大な法令違反などが挙げられます。

 処分は一律ではなく、期間・対象業種・地域・公共工事か民間工事かなど、個別に範囲が定められます。


2.営業停止中にできないこと

 営業停止中に最も重要なのは、新規受注に関する行為が広く禁止される点です。

 (1)新たな請負契約の締結
 営業停止期間中は、新規の建設工事の契約を結ぶことはできません。

 (2)入札・見積・交渉など契約に向けた行為
 契約締結に至る前段階である、入札参加・見積提出・条件交渉なども禁止対象となります。

 (3)工事追加に関する契約変更
 既契約の工事であっても、追加工事など契約金額や内容を増やす変更は原則不可です(施工上やむを得ない場合を除く)。

 これらに違反すると、営業停止違反として許可取消しにつながる可能性があります。


3.営業停止中でもできること

 一方で、営業停止中でも許されている行為は明確に存在します。

 (1)既契約工事の施工継続
 営業停止前に締結された契約については、原則として施工を続けることができます。

 (2)瑕疵修繕・保証対応
 引渡後の不具合対応や保証工事は実施可能です。

 (3)請負代金の請求・受領・支払い
 契約に基づく金銭のやり取りは制限されません。

 (4)会社運営に関する行為
 資金借入れ、事務処理、社内体制の整備など、営業に直接該当しない経営活動は可能です。

 (5)許可更新・経審・入札資格申請
 建設業許可の更新申請、経営事項審査(経審)、入札参加資格審査の申請は可能
です。
 営業停止は「営業行為」の制限であり、行政手続そのものは止まりません。

 (6)災害時などの例外対応
 公共性の高い緊急工事などは、例外的に認められる場合があります。


4.実務上の重要ポイント

 営業停止処分を受けた場合は、単に業務を止めるのではなく、正確な運用判断が重要になります。

 ・新規契約と既契約を明確に区別する
 ・変更契約の可否を慎重に判断する
 ・処分の対象範囲(業種・地域)を必ず確認する

 また、取引先への説明や現場対応を誤ると、信用低下につながるため、実務対応も極めて重要です。


5.まとめ

 営業停止処分は、すべての業務を止めるものではなく、新規受注に関する行為は広く禁止される一方で、既契約の履行や行政手続は継続できる制度です。

 特に、許可更新や経審は営業停止中でも進められるため、将来の受注機会を見据えた準備は可能です。

 処分内容を正確に理解し、適切に対応することが、信用回復と事業継続につながります。


※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

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