営業所を新設すると、建設業許可上は「重要な変更」として扱われます。
所在地や常勤役員・専任技術者の配置状況など、許可の根幹に関わる事項が変動するため、適切な手続きを進めておく必要があります。ここでは、営業所新設時に求められる届出と、実務上特に注意すべきポイントを整理します。


1.営業所新設は「変更届」の提出が必須となる

営業所を1か所追加するだけでも、建設業許可では 「変更届(営業所関係)」 の提出が求められます。
新設日から一定期間内に届出を行う必要があるため、事前にスケジュールを把握して準備しておくことが重要です。

営業所新設時に提出する主な届出は次のとおりです。

  • ① 変更届出書(営業所新設)
  • ② 営業所ごとの専任技術者設置届
  • ③ 使用人数報告(社会保険の整合確認を含む)
  • ④ 新設営業所の賃貸借契約書・写真などの実在性資料

とくに、専任技術者の配置に関する資料の整合が必須になるため、後述の要件確認が欠かせません。


2.新設営業所には「専任技術者」を必ず1名配置する

建設業許可では、営業所ごとに専任技術者1名の配置が義務 となっています。
そのため、新設営業所を設置する際に最も重要となるのが、専任技術者の確保です。

● 専任技術者として認められる条件の例

  • 該当業種の国家資格の保有
  • 指定学科卒業+一定の実務経験
  • 10年以上の実務経験(学歴不問の場合)

● 注意点

  • 本店から専任技術者を「移す」場合、本店側の専任技術者の要件が欠けないように調整が必要
  • 同一人物が複数の営業所の専任技術者を兼任することは不可
  • 在籍出向等で外部に専任を置く場合は、出向形態の証明が求められることがある

新設日から専任技術者が常勤となる体制が必要なため、タイミング管理が極めて重要です。


3.営業所の「実在性」が証明できることも必須

建設業許可上、営業所は単なる名義ではなく 実態のある事業所 を指します。
そのため、次の資料で実在性を明確にする必要があります。

  • 建物の 賃貸借契約書(自社所有の場合は登記事項証明)
  • 室内の 机・椅子・パソコン等が整った状況の写真
  • 電話番号、FAX番号、固定回線契約書
  • 看板・郵便受けなどの外観写真

また、シェアオフィス・バーチャルオフィスは原則不可とされるため、事前確認が欠かせません。


4.社会保険加入状況との整合性も重視される

近年の実務では、営業所単位の社会保険加入状況の確認が厳格になっています。

● 主に確認されるポイント

  • 新設営業所に配置される職員の社会保険加入が適正か
  • 専任技術者が社会保険に加入しているか
  • 従業員の所属(本店か営業所か)が書類と一致しているか

労働保険・社会保険の加入漏れは、届出の遅れや審査の保留につながるため、営業所新設と同時に整合性を確認しておく必要があります。


5.新設営業所と本店の「業務体制の一貫性」も審査対象になる

営業所を増やすことで、企業の体制がより複雑になります。
そのため、行政庁は次の点について特に丁寧に確認します。

  • 実際に営業活動を行っている場所か
  • 現場管理や契約書類の保管体制が整っているか
  • 経理・労務処理の一貫性が確保されているか
  • 人員配置・役員との連絡体制が明確か

書面だけ整えても実態が伴わなければ、営業所として認められません。
内部体制を見直したうえで届出を行うことが重要です。


6.まとめ

営業所を新設することは、単なる拠点の追加ではなく、建設業許可の重要項目が変動する重大な変更です。
専任技術者の確保、実在性の証明、社会保険の整合性、内部体制の確認 の4点を確実に整えることで、スムーズな手続きが可能になります。


※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

〒460-0008
愛知県名古屋市中区栄5丁目19-31 T&Mビル3F-3X
行政書士吉田哲朗事務所
吉田 哲朗
TEL052-380-3173
Mobile:090-6090-0386
Email:info@office-yoshida-te.com
Facebook
Instagram
X(Twitter)

YouTube

投稿者プロフィール

吉田哲朗
吉田哲朗