
建設業許可申請では、経営業務管理責任者や専任技術者について「常勤であること」が求められます。
この常勤性の証明は、単に「在籍している」ことを示せば足りるものではなく、実態として日常的に勤務しているかどうかが確認される重要な要件です。
建設業は工事の安全性や品質確保が社会的に強く求められる分野であり、許可制度では人的体制の実効性が重視されています。そのため、名義上だけ配置されている状態や、実際には別の仕事を主としている場合は、常勤とは認められません。
常勤性が求められる理由
常勤性が求められる最大の理由は、責任の所在を明確にするためです。
経営業務管理責任者であれば、会社全体の経営判断に継続的に関与している必要がありますし、専任技術者であれば、工事の技術的管理を日常的に担える体制でなければなりません。
もし非常勤や名義貸しが認められてしまうと、トラブル発生時に適切な判断や対応ができず、発注者や下請業者に大きな影響を与えるおそれがあります。そのため、行政庁は常勤性を慎重に確認します。
常勤性の判断基準
常勤性の判断は、「1日8時間・週5日」といった形式的基準だけで決まるものではありません。
実務では、次のような点を総合的に見て判断されます。
- 他社に常勤していないか
- 個人事業を別に営んでいないか
- 社会保険の加入状況は整合しているか
- 勤務実態を裏付ける資料が揃っているか
特に、他法人の役員や従業員を兼ねている場合や、個人事業主として別事業を行っている場合は、常勤性が否定されるリスクが高くなります。
常勤性を証明する主な資料
常勤性の証明では、複数の資料を組み合わせて勤務実態を示すことが重要です。
一般的に用いられる資料には、次のようなものがあります。
- 健康保険・厚生年金保険の資格取得届
- 雇用保険の被保険者資格取得届
- 法人役員の場合の登記事項証明書
- 給与台帳や賃金台帳
- 勤務実態を説明する補足資料
これらの資料に矛盾がないことが重要で、どれか一つだけ提出すれば足りるというものではありません。
常勤性で注意すべきポイント
**最も注意すべき点は「書類上の整合性」**です。
社会保険は加入しているが、給与支払いが確認できない、あるいは他社の社会保険に加入しているといったケースでは、常勤性に疑義が生じます。
また、形式的に常勤に見せようとする対応は、かえってリスクを高めることがあります。
行政庁は書類の細部まで確認するため、実態と異なる説明は後の調査で問題になる可能性があります。
まとめ
常勤性の証明は、建設業許可申請において見落とされがちですが、人的要件の中でも特に重要な確認事項です。
単に在籍していることではなく、実際に継続して業務に従事しているかが問われます。
そのため、申請前に勤務実態と提出資料の内容を整理し、整合性の取れた形で証明できる状態にしておくことが、円滑な許可取得につながります。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。
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