
特例監理技術者制度とは、本来は工事現場ごとに「専任」で配置しなければならない監理技術者について、一定の要件を満たす場合に限り、複数の工事現場を兼任できる制度です。
建設業界における技術者不足を背景に整備された制度ですが、
単なる人員削減を目的とした制度ではなく、施工の安全性・品質を確保することを前提とした例外的な仕組みである点が重要です。
まず整理すべき「2つの金額基準」
特例監理技術者制度を理解するうえで、混同されやすい2つの金額基準を整理しておく必要があります。
① 監理技術者が「必要」になる基準
下請契約の合計金額が5,000万円以上(建築一式工事の場合は8,000万円以上)
この基準を超えると、特定建設業となり、主任技術者ではなく「監理技術者」の配置が必要になります。
② 技術者に「専任」が求められる基準(2025年2月1日以降)
請負代金額が4,500万円以上(建築一式工事の場合は9,000万円以上)
この金額以上の工事では、主任技術者または監理技術者は「専任」で配置しなければなりません。
👉 特例監理技術者制度は、この「専任が必要となる工事」を前提として使われる制度です。
特例監理技術者が兼任できる現場数
特例監理技術者が兼任できる工事現場の数には、明確な上限があります。
兼任できるのは最大2現場まで(自身が担当する現場を含めて合計2現場)
3現場以上の兼任は認められておらず、これを超えると配置基準違反となります。
「監理技術者補佐」の専任配置が絶対条件
特例監理技術者制度において、最も重要なのが「監理技術者補佐」の配置です。
各工事現場ごとに、専任の監理技術者補佐を必ず配置することが求められます。
監理技術者補佐の要件
監理技術者補佐は、単なる現場担当者ではありません。
・1級施工管理技士
・1級施工管理技士補(一次検定合格者)
など、一定の国家資格を有していることが要件となります。
また、監理技術者補佐は他の工事現場との兼務はできず、その現場に専任で配置されなければなりません。
現場間の「近接性」の考え方
特例制度を利用するためには、兼任する工事現場が地理的に近接していることも必要です。
実務上の目安としては、現場間をおおむね1時間程度で移動できる範囲であることが求められます。
事故や緊急対応が発生した際に、監理技術者が速やかに現場へ駆けつけられる体制が確保されているかが重要視されます。
実務上の注意点
特例監理技術者制度を利用する場合には、次の点に注意が必要です。
・施工体制台帳や施工体系図に「特例監理技術者」である旨を明記すること
・配置予定技術者名簿との整合を取ること
・発注者から兼任についての承諾を得ること
・ICT(Webカメラ、写真管理ソフト等)を活用し、遠隔で施工状況を把握できる体制を整えること
これらが不十分な場合、配置基準違反と判断されるリスクがあります。
まとめ
特例監理技術者制度は、
・下請合計5,000万円(建築一式8,000万円)以上 → 監理技術者が必要
・請負代金4,500万円(建築一式9,000万円)以上 → 専任が必要
という前提を踏まえたうえで、
監理技術者補佐を各現場に専任配置し、監理技術者が2現場まで兼任できる制度です。
**「人を減らす制度」ではなく、「管理体制を再構築する制度」**であることを理解し、慎重かつ適正な運用が求められます。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。
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