建設業許可申請において、「政令使用人(令3条の使用人)」の届出・証明は重要な手続の一つです。営業所の体制が適法に整備されているかを判断するうえで、行政庁が確認するポイントになります。本記事では、法令に基づく定義と実務上の証明方法を整理します。


1 政令使用人とは何か

政令使用人とは、建設業法施行令第3条に規定される「支配人」および「支店又は営業所の代表者」をいいます。

ここでいう営業所とは、単なる事務拠点ではなく、常時、建設工事の請負契約を締結する事務所を指します。
総務や経理のみを行う拠点は、許可上の営業所に該当しない場合があります。

つまり、政令使用人とは、当該営業所において請負契約の締結・履行に関して実質的な権限を持つ責任者を意味します。


2 なぜ届出・証明が必要なのか

建設業許可では、営業所ごとに適正な体制が整備されていることが求められます。

特に重要なのは、

・実際に請負契約を締結できる体制があるか
・権限と責任の所在が明確か
・営業所として独立した機能を有しているか

という点です。

請負契約を常時締結する営業所には、政令使用人の届出が必要になります。

これは、営業所の実在性や実態を担保するための制度といえます。


3 提出が必要となる法定様式

全国共通で提出が求められる主な書類は、国土交通省の定める様式です。

① 建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表(第11号様式)
② 建設業法施行令第3条に規定する使用人の調書(第13号様式)

これらは新規申請時だけでなく、変更があった場合にも提出が必要です。

一覧表には該当する使用人全員を記載し、調書には住所・生年月日・略歴等を記載します。


4 追加で求められることがある資料

法定様式とは別に、行政庁の運用により、実態確認のために次のような資料を求められることがあります。

・委任関係が分かる資料(契約締結権限の明示)
・社内規程や組織図
・辞令や就任通知書
・雇用関係を確認できる資料

これらは全国一律の必須書類ではありませんが、権限の実態を客観的に説明する資料として重要視される場合があります。


5 実務上の注意点

(1)肩書きだけでは足りない

「支店長」「所長」という肩書きがあっても、実際に契約締結権限がなければ政令使用人とはいえません。
実質的な権限の有無が判断基準です。

(2)勤務実態との整合性

営業所における勤務実態、決裁権限の範囲、指揮命令系統などが整合しているかどうかが確認されます。
他営業所との兼任が直ちに違法になるわけではありませんが、体制として合理的に説明できる必要があります。

形式だけでなく、実態との一致が最も重要です。


まとめ

政令使用人の届出は、営業所が「常時請負契約を締結する事務所」として適切に機能しているかを確認するための制度です。

必要なのは、

・法定様式の正確な提出
・契約締結権限の明確化
・組織体制との整合性

これらを事前に整理しておくことで、円滑な許可申請につながります。
申請前に営業所体制を見直すことが重要です。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容は行政書士 吉田哲朗(行政書士吉田哲朗事務所 代表)が確認し、公開時点の法令・運用基準に基づき監修しています。
実際の申請要件や判断は、各行政庁の指導に従ってください。

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